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新海誠監督の最新作「すずめの戸締まり」製作会見での注目コメント【詳細レポート】

出典:公式サイト

2022年秋公開に向けた製作記者会見

映画「君の名は。」「天気の子」の大ヒットで今や世界的な人気を博す新海誠監督による最新作「すずめの戸締まり」の記者会見が2021年12月15日に行われました。

前作「天気の子」から3年となる、来年秋公開の新作への注目度の高さはもちろん、ゲストに過去作のヒロインをつとめた人気女優の上白石萌音さん、森七菜さんを迎えたこともあり、多くのメディアからすでに速報記事が発信されています。

映画の配給元である東映からもノーカット版の会見動画も公開されていますが、実は45分近くあるとても濃い内容になっています。

メディア各社からの記事はどうしても限られた紙面での発信が多く、注目すべきコメントが全て網羅されているわけではありません。

とはいえ会見を全部見る時間はないなあ。。。

でも、もうちょっと詳しく知りたい!

という方々に向けて、会見内容のニュアンスも極力伝わるよう、コメントを書き起こしました。

「すずめの戸締まり」の内容に関する数多くのヒント

●新海監督の、静かながら深い思いが詰まったコメントの数々


●ゲストの上白石萌音さんと森七菜さんからの新海監督冷や汗コメント

などなど、登壇者皆さんがネタバレに細心の注意を払いながらも、語れる範囲で本作のヒント満載、テーマの核心部分にまで触れた良心的かつ興味深い会見模様を丁寧にお届けすることで、来年秋の公開を一緒に待ち望めたら幸いです。

カメノヒコ

会見では、静かに、穏やかながらも、新海監督のこの映画に寄せる深く熱い思いが語られたぞよ。

ゲストの上白石さん、森さんとのトークも、和気あいあいとした雰囲気の中、時折、監督が冷や汗をかきながらも、本作の魅力が伝わってくるやり取りじゃった。

最後の質問コーナーにもヒントが詰まっておった。

少々長いが、読み応えたっぷりじゃし、新作への期待は膨らむばかりじゃぞ〜

第一部:新海誠監督ご挨拶

カメノヒコ

本作の3つのテーマについて、新海監督が語ってくれたぞよ。

新海誠監督(以下、新海):今「すずめの戸締まり」という映画を作っております。

公開は来年の秋ということで今の時点だとお話できないことが結構多いんですけれども、今日は最初に僕の方から三つのキーワードで映画の説明をさせていただきたいと思います。

一つ目は、この映画は日本列島各地を巡るロードムービーであるということ。

二つ目は、扉を開いていく物語ではなく扉を閉じていく物語を作りたいということ。

そして三つ目は、映画館に足を運ぶ理由となるような作品を作りたいということです。

テーマ1:ロードムービー

一つ目からご説明いたしますと、ロードムービーだということについては、例えばこの映画は日本全国を広く舞台とした冒険物語です。

「君の名は。」「天気の子」のような映画を作ると、各地に舞台挨拶に伺うんですが、そうすると映画を見終わったお客様からの次は僕の街を私の町を舞台にしてくださいという風に言われることが多いんですね。

毎回嬉しいんだけど、でも全部は出せないしなどうしようかなって思っているんですけども、ただ今回はロードムービーとすることでちょっと欲張りをして各地の様々な風景であったり魅力的な人々であったり特別な出会いであったりを描くことができるのではないかというふうに考えました。

ですからちょっと今回は欲張った映画になっています。

テーマ2:扉を閉じる物語

二つ目の扉を閉じていく物語を作りたいということについてです。

どんなことでもそうですが、何かを始めることより終わらせることの方が難しいと思います。

映画作りなんかまさにそうですし、多くのお仕事がそうでしょうし、あるいは恋愛であったりとか家族関係であったりとか、生活の中でも終わらせることの方が難しいということはあるでしょうし、あるいはもしかしたら少子高齢化が進んでいくようなこの国にとってはいろんな出来事が始めることより閉じていくことの方が難しいのではないかという風に感じることが多くなってきました。

ですので、今作るべきは、今もしかしてお客さんが見たいのは色んな可能性をどんどん開いていくような物語ではなくて、一つ一つの散らかってしまった可能性を、もう一度きちんと見つめて、あるべき手段できちんと閉じていく。その事によって次に進むべき新しい場所を、本当の新しい場所を見つけるそういう物語を今作るべきなんじゃないか
今お客さまは見たいと思ってるんじゃないか。

そんなことを考えて、開いていくよりは閉じていく物語にしたいというふうに考えまして、なので今回「扉」(舞台セット)なんですね。白い扉がここにありますけどロードムービーですので各地の扉が開いていくことになりますので、様々な扉が劇中に登場いたします。
お楽しみにしていただければと思います。

テーマ3:映画館に行く理由になる映画

そして最後に、映画館に足を運ぶ理由になるような作品づくりをしたいということについてです。

昨今配信が全盛で、僕自身も寝る前に「今日はドラマのこれを見よう」とか毎晩見てるぐらい配信を楽しみにしているんですけれども、ただやっぱり劇場、映画館というのは人間の持っているある特別な能力を発揮してくれる場所、発揮させてくれる場所なんじゃないかという風に思うんですね。

その人間の持っている能力特別な能力というのは、例えば感情移入することであったりとか物語に没入するという能力だと思います。

そういう人の能力って家でリラックスして配信で見ていてももちろん発揮されるんですけれども、映画館に実際に足を運んで暗闇の中に座って集中して大きなスクリーンを見るということによって最も強く引き出して、そういう能力を人は発揮して物語に入り込むことができるんだと思うんですね。

そういうことができるような、手作り音作りをこの映画では行ってきたいという風に思っています。「すずめ」があるから映画館に行きたいなという風に人々に思って頂けるような映画作りを目指しております。

長くなりましたが最初に今日伝えできることはこのような三つの部分から入り口にしたいと思います。

第二部:トークセッション(上白石萌音さん、森七菜さん)

司会者:Vコンテ(アニメーションの動きやセリフイメージが乗った動く絵コンテ)鑑賞後の感想は?

カメノヒコ

なんと上白石さんと森さんはすでに特別に、「Vコンテ」というアニメーションの動きやセリフイメージが乗った動く絵コンテを見たそうじゃぞ!

「めちゃくちゃ面白かった」(上白石萌音さん)

上白石萌音さん(以下、上白石):いやぁーーー。めちゃくちゃ面白かったですね。
あのVコンってまだ色もほとんどついていなくて鉛筆とかでこう書かれた絵がコマ送りで動くような状態に、新海さんの作品の場合は新海さんの声が吹き込まれているものなんですけど、なのでまだ完成からはまだ遠いような。

新海:最初の設計図です。物語は全部できてるけど、Vコンテをベースに一枚一枚スタッフみんなで頑張って完成させていきます。

上白石:その(Vコンテという)骨組みだけでも一瞬でした。
本当に圧倒されましたし、純粋にストーリーにものすごく魅力がありましたし、なんかこう新海さんのこれまでの新海イズムを保ちつつ、また新たな扉を開けられたという感じがして、すごくゾクゾクしながら、あっという間に拝見しました。

カメノヒコ

上白石さんに「めちゃくちゃ面白かった」「一瞬だった」と言われると、本当にそうなんじゃろうなと思ってしまうのぉ。こりゃあ、増す増す楽しみじゃ!

「私、鳥になっちゃうよー!」(森七菜さん)

森七菜さん(以下、森):私、びっくりして。今までの新海さんの作品ももちろんそうでしたけど、このゾクゾクとか、何か迫り来る、何か自分でもわかんないような鳥肌が立ったりとかする感覚が、すごく何かいい意味で気持ち悪くて、気持ちが自分でもわかんないとこで動かされてる感じとか。

でもそこは「天気の子」とか「君の名は」を今まで見てきて、やっぱりすごくその作品を見た前後も余韻があるし、新海さんの作品が公開された年は、新海さんがいるからこそ、その年の色がある気がして、一本の映画で一年が変わるって雰囲気がすごく感じるので、その感じ方すごく懐かしく思い出したと言うか。なんかまたやってきたぞ、と言う。

新海さんと一緒にいたら毎日本当に鳥肌立つことが本当に多いんですよ。
新海さんの言葉を聞いてもそうだし、作品を見ても、その感覚を思い出して、これ本当に色がついたりとか声優さんが声を吹き入れたらどんなものになってしまうのか。
「私、鳥になっちゃうよー」って思いました

カメノヒコ

森さんの「鳥になっちゃうよ」というのは単なる天然コメントなのじゃろうか。それとも。。。

鈴芽役のオーディションはまだこれから

新海:すごく励まされました。

ずっと脚本書いて、ビデオコンテ書いてというのを、ちょうどコロナ禍が日本で始まったぐらいのタイミングに企画を考え始めた時期だったので、この2年間はほとんど外に出ることなくビデオコンテをずっと書いてきて、ようやく形になって、今月頭ぐらいに形になって、お二人にすぐお送りしてみて頂いたばかりだったので、「良かったよ」という風に本当は誰かに言って欲しかったので、その言葉を他ならぬ萌音ちゃんと七菜ちゃんから聞けたことがとても幸せです。

鈴芽(すずめ)というヒロインが出てくる物語なんですけど、鈴芽役もまだオーディションもしていなくて決まっていないので。

でも会見はさせていただきたいから「どうしようかな」って悩んだ時に、僕の方から萌音ちゃんと七菜ちゃんに助けていただけないでしょうかという風にこう探っていただいて(笑)、そうしたら事務所の方からもいいですよとお答えいただいたので。

お二人の言葉も聞きたかったし、アドバイスも頂きたくて今日はご一緒して頂きました。ありがとうございます。

ある存在と戦うアクションシーン満載の映画

言えないことがたくさんあるんですけど、鈴芽と二人の共通点が一つ。これは言えることですかね、西の方。九州出身の女の子で、(萌音さんが)鹿児島ご出身で(七菜さんが)大分ですものね。

たしかに正直最初に書き始めた時は方言も含めて、直近七菜ちゃんとずっと一緒にいたから、七菜ちゃんの声が聞こえていたし、鈴芽からは。旅を続けるに従ってだんだん萌音ちゃんと声も混じってきてみたいな、そんな感じで(笑)

これからオーディションしていかなければいけないので、どういう風に探してどんな子にしたらいいですかっていうことも今日二人からアドバイスを聞いておきたいなって思っております。

いつもオーディションで選ばせて頂いて、直接ブースに入ってセリフの掛け合いも僕がやらせて頂く時もあるし、相手役が決まってる時は相手役の方でやっていただく時もあるんですけど。例えばオーディションって僕自身を受けたことがないので受ける時ってどういう気持ちでその何を見て欲しいっていうふうに思うんですかね。どういう風に鈴芽を探したら、例えば声優さんがいいのか、女優さんがいいのか、それとももっと違うところから目を向けるべきなのか(笑)、私だったらこうするみたいな事ってありますか?

上白石:枠を設けずいろんな声を聞きたいと思います、私なら。

森:素がその子だなって思う子を選ぶかもしれないんですけど、私が一個気になってるのが、「君の名は」「天気の子」とそれ以前の作品も、ヒロインにすごく監督の夢とか理想まで乗ってる気がするんですよ

新海:はい、すみません(笑)

森:それがすごくヒロインを素敵に輝かせたりもしてるんですけど、今回の鈴芽にはどういう女の子であって欲しいって思いながら、私はすごく力強さを感じたりもしたんですけど、描いていたんだろうなあって。

新海:今回、実は結構アクションシーンも多いんですよ。ある存在と戦う女の子だったりもするので。

僕はあんまりそういうアニメーション描いてこなかったので、鈴芽もどういう子だったら、例えば日常生活、現代が舞台ではあるんですけど、でもやっぱり戦うので色んな怖い思いもしなければいけないわけですよね。ガードレールを飛び越えたりとかもしなければいけなくて、そんな時に例えば七菜ちゃんだったら、あるいは萌音ちゃんだったら、それが17歳ぐらいの時だったらどれぐらいの勢いでガードレールを飛び越えられるんだろうとか、そんなことからもうちょっとよくわからなくて。

だからもう自分でとりあえず仮の声を叫んだりしながら、自分がもしそのくらいの年齢の女性であったりしたらこのぐらいの勢いのアクションが出来るんじゃないかとか、自分に問いかけながらやってきたんですけど、これから先はきっとオーディションを通してもっと鈴芽のことを教えてくれる人と出会えれば、そうすればこういう子だったんだっていうことが最終的に腹に落ちてくるような気がするのですが、まだちょっと掴みきれていないなっていうのはありますね。

「君の名は」の時は萌音ちゃんが教えてくれたし「天気の子」のときは七菜ちゃんが教えてくれたので、教えてくれる人と出会いたいですよね。

「私と上白石さんのどっちを選ぶの!?」(森七菜さん)

上白石:さっきも七菜ちゃんと話してたんですけど、受けない?オーディションって(笑)

新海:ハハハ(笑)神木くんも「天気の子」のオーディション俺受けますよと言っていて、頼むから辞めて欲しいっていう風にお願いしたいんですけど(笑)

二人がオーディションにいらっしゃったらちょっと僕はパニックになってしまうだろうし、あとオーディション強そうじゃないですか。勝ってしまいそうな(笑)

上白石:でもちょっと気になるよね。どっちを選ぶのか。どっちも選ばれないかも知れないけど。

森:私と上白石さんのどっちを選ぶの?って

新海:汗がちょっと・・・(笑)

森:先輩ですけども、そこは無礼講でという約束もさっきしました。

カメノヒコ

ゲストのお二人から畳み掛けるような熱烈なラブコールに新海監督もちょっとタジろいだぞよw

上白石:オーディションはフェアなものなので。

そういう意味では、本当に七菜ちゃんもまだ上京していない頃で、私も高校生で。私たちに本当に大きな賭けをして選んでくださったっていうので、なんて懐が大きい方なんだろうと思って。

新海:いやいやいや。賭けというかその僕たちの作品が二人から頂いたものの方がはるかに大きいので。

やっぱりある種の確信があって

今みたいにまだオーディションもやってない段階だと鈴芽って全然わからないって思うんですけど、でもやっぱり声を聞いたらわかる瞬間があるんですよね。

あっこの人なんだってわかるから、分かったら後はきっとたくさんのものをくれるんだろうなと思うので、賭けという感覚はなかったですけどね。

今に至るまで、まさか最新作の記者発表まで助けてもらうとは予想していなかったですけど、本当にお力を頂いてばかりです。

ゲストお二人の「すずめの戸締まり」を観た感想

上白石:なんか、、、色々あるけど、、、、解決しないことってないのかなっていうか、明けない夜はないというか、やっぱり今もやっぱり不安定な世の中で、常に不安があって、どんなに幸せな時も明日がどうなるかってわからなくって、、、でも明るい明日を信じてみたいなって思わせてくださるような、前から引っ張ってくれるような、そういう前向きな終わり方で私はとっても勇気をもらいました

だからこれに新海さんの色彩が乗ると、よりすごい訴えてくるものがあるんだろうなと思ってて。

なんか新海さんの作品見た後って街が本当に新海さんの映画みたいに見えるんですよ。何でもないと思ってた道路がすごい、わー綺麗って思えるようになったりとかして、それと一緒で多分この作品見た後は全部の扉を開け閉めしてそこを通過するたびに鈴芽ちゃんのことを思うんだろうなって思うくらい。

壮大なんですけどめちゃくちゃ身近で自分の物語として観られるような感覚がありましたね。

森:本当にいつも思うのは、年を重ねるにつれ悩み事が増えてるって感覚がちょっとずつあって。こんなに持ったことない、初めて二十歳の自分をやるし、こんなに思ってる自分をやるから、いつもその悩み事の解決の仕方も持ち方も分からないけど、でもそれを本当に扉に閉じ込めておくこともできるって思って、それが多分一番楽で何も考えないで済むけど、この作品を見た時に、扉を開けて、それをどんなに強い風が吹いても、自分を揺るがす事態が起きても、ちゃんとぶつかり合って、本当に心と心でぶつかり合って行けば、どうにか自分の納得いく形か分からないけど、何か結末が待ってる

それの後に自分がどう対応していくかもあるかもしれないですけど、そういう扉の開け方を教えてくれた。なかなかそういう映画って今までなかったなあってことにも今気づきましたし、なんかそれは結末が綺麗なことだけじゃないかもしれないけど、ちゃんとそこの勇気を一番押してくれる映画だから、人生で今見たら最高なポイントに一番ガチってきたなって思ったんですよ。

すいません話が長くて。
でも本当に色々教えてもらうことが多かった作品だなと思いました。

カメノヒコ

ゲストお二方のハートをぎゅっと鷲掴みにした作品だったというのが伝わってくるコメントじゃのぉ。早く観たいのぉ〜!!

物語の閉じ方を悩み続けた2年間

新海:結構鈴芽にも大変なことが起きるし、旅をする場所、日本にもいろんな大変なことが起きる物語だったりするんですよね。

僕たちの人生にも大変なことが常に起き続けてるわけじゃないですか。社会にも起きるし。

でも見終わった時に物語をどういう風に閉じれば、きちんとそれこそ扉を閉じたことになるんだろう、無責任に映画を始めて開けっぱなしで終わらせなくて済むんだろうということはずーっと悩み続けてこの2年間作ってきたので。

ですので二人からあの今いただけた言葉というのは、締めた上で何か新しい風景がっていうニュアンスに聞こえたので、すごくやっぱり励まされました。

今日来て頂けて嬉しかったなという風に今おもってます

上白石:「天気の子」を観た後に「もうすぐ晴れるよ」をすごいマネちゃったんですよ。
「君の名は。」とかも「入れ替わってる!」って言うのを真似されたりとかすることが増えたんですけど、これ見たら多分、朝仕事行く前に、鍵する時に絶対マネしちゃうと思う(笑)。

そういう一緒に一生日常を一緒に過ごしてくれるようなお守りみたいな作品になる気がします。

第三部:メディアからの質問

カメノヒコ

全部で5人の方から質問があったんじゃが、司会からお願いのあった媒体名や名前についてはどなたも名乗ることはなかったのは不思議じゃったのう。。。

でも、どの質問に対しても、新海監督からは真摯で丁寧な回答をされていたぞよ。

質問1:「君の名は」「天気の子」との関連性は?今作だからこそ挑戦していることは?

新海:3作品で直接的なつながりがあるかどうかということに関しては、アベンジャーズ的なことを期待してらっしゃるファンがいらっしゃることは知ってはいるんですけど、そんなに直接は繋がっていないです。

過去のキャラクターが出てくるかどうかというのはちょっとわからないっていう風に伏せさせて頂きたいんですけど、別に世界線はつながっていない新しい物語です。

新たにチャレンジしたことはすごくたくさんあるんですけど、言えないことがいっぱいあるんですが、一つには今日少しだけ言ったアクションムービーであるということです。

アクションもそれもきっと皆さんがイメージするようなアクションスターが活躍するようなアクションムービーとは少し違う、想像しなかったようなアクションが盛りだくさんの作品です。そこは難しいなと思いながら作っておりますし他にも色々ありますがまでも徐々に知っていっていただければなという風に思います。

質問2:そもそものストーリーの発想の起点、鈴芽というヒロイン像が生まれたきっかけは?

A:鈴芽というヒロイン主導で物語が出来上がってきたというよりは、扉を閉めていくという発想が先にあったんですね。

例えば僕が実家が長野なんですが、実家に帰ったり、あるいは各地の舞台挨拶で日本中まわったりすると、少し寂しい風景が増えたなと実感することが多くなったような気がします。人が減ってきてそのぶん緑が増えて獣が増えてそれはどこかすごみのある風景ではあるんですが、ただかつてたくさん人が歩いていただろう風景がだんだん寂しくなってきてしまった。

コロナ禍でも感じました。僕は新宿辺りに住んでるんですが新宿にこれだけ人がいない景色というのはもしかしたここ何百年なかったんじゃないかと思うぐらい、がらんどうになった景色がありました。

未来の風景を眺めるような心持ちにもなったんですが、そういうこう風景をこの何年か眺めてきた時に、例えばその人間というのは新しい土地をひらいたり家を作ったりする時に地鎮祭というものを行って土地の神様に許しを得て、いい家が建ちますようにと、良い家族ができますようにという地鎮祭を行いますが、人が消えていくときは何をするんだろうって思ったんですね

僕たちは結構何もしないんですよ。

地鎮祭の反対になるようなものはあまりなくて。まあ仏壇から魂抜きをするとかそういうことありますが、であるならば僕たちの風景はだんだん寂しくなっていくのであれば、どのようにこの風景を閉じていけばいいんだろうということに興味が向きました。

それが扉を閉めていくという物語の発想の起点になっています。これ以上詳しくは言えないんですが、それが最初です。

質問3:主人公がある扉の若者が追っていくストーリーのようだが、男女の関係性はどうな感じなのか?

鈴芽というキャラクターがいますが、青年の旅人のようなキャラクターも出てくるんですね。ですので青年の方がまだあまり詳しくは言えないないですが、年上で青年に憧れるような関係性はあります。ですから人によってはそれは恋愛に見えるかもしれないですよね。

あるいは各地を旅していきますので、さっき裏で萌音ちゃん七菜ちゃんと話していた時に、萌音ちゃんは鈴芽が子供と遊んでいるシーンがすごく良かったって言ってくださいましたけど、各地でいろんなキャラクターと出会ってきます

それは友情の場合もあるし、擬似的な親子関係になる場合もあるし、あるいはおじいさんおばあさんぐらいの歳の人と出会うシーンもあります。

そんなところで「君の名は」が一言で二人の恋愛関係の物語だったとするならば、「すずめの戸締まり」に関してはもっと幅広い、年齢も広い様々な人間関係が出てくる映画になっていると思います

(ゲスト二人に対して)いろんなキャラクターが出てきましたでしょ?

森:すごい楽しかったです。いろんなおもちゃ箱みたいないろんな出てきて。

新海:そうなんです。ギャグシーンもきちんとたくさん入れたつもりです。

上白石:何回も声出して笑いました。監督のギャグセンスが光っています(笑)

新海:あんまり自信ないんですけれども笑っていただけてホッとしました。

質問4:コロナ禍が自身の作風や新作に向けた取り組み方や考え方を変えた部分は大きかったか?

新海:難しい問題で、映画に関しては単純にどういう環境で上映できるのかも分かりませんし、コロナ禍そのものを舞台にしたとしても映画公開される時と時期のずれがありますので。

例えばキャラクターにマスクをすべきかすべきじゃないかということにも随分迷いました。迷った結果、「すずめの戸締まり」という世界ではそのコロナを連想させるような部分はなくはないですが、ただコロナそのものを描くことはしていません

キャラクターはほとんどマスクもしていないんですけれども、作っている最中の願いのようなものは込めていると思います。

先ほど2年間ずっと部屋にこもって脚本とコンテを書いていたと言いましたけれども、できれば本当はロードムービーなんだから各地に行ってその場所に泊まって、その空気を吸いながら物語を書きたかった。でもそれは今はできないけれども、この映画が公開される頃にはそういうことは当たり前にできるようになってればいいなという、その渇望のようなものはフィルムに込められてると思いますので。今はそこがお客さんに届けば嬉しいなという風に思います。

質問5:過疎地域や震災の被災地は登場するのか?

新海:リリースの中にも、扉が開いてしまってそこか災害のもとになると言う設定がありますのでおっしゃる通り人が住まなくなってしまったその被災地のような場所、災害の場所というものは出てきます

作品の中のセリフで、人のいなくなってしまった寂しい場所に扉は開くんだと言う言葉があったりします。

それ以上の部分はできれば見て楽しんでいただきたいと思いますので、今はお伝えできませんが、そういうテイストのある作品です。

新海監督から皆さまへのメッセージ

新海:今日は本当にお付き合い頂きどうもありがとうございました。萌音ちゃんも七菜ちゃんも本当にお忙しいところどうもありがとうございました。

「すずめの戸締まり」、現在スタッフ一同鋭意製作中でございまして、今この瞬間もスタジオが荻窪にあるんですが、皆頑張って書いてくれていると思います。音楽を作ってくれていると思います。

カメノヒコ

公開されたクレジットに、新海ワールドに欠かせない要素の一つである「音楽」に関する情報はなかったのじゃ。

今後、サプライズが用意されているのかも知れんのぉ。

ですので、僕はたくさんの人を代表してとりあえず今日はここに立たせていただきましたけれども、アニメーションは総合力ですので、その望みを持ったスタッフが集まって他では見れないような力のある映画をこの場所から届けたいという風に強く願っております

公開までまだ少し先ではありますがどうか皆さんたくさんの方に見ていただけることを願っております。

今日は本当にどうもありがとうございました。

カメノヒコ

最後は3人で舞台中央にセットされた白い扉の「戸締まり」をして終了したぞよ。

関連動画

動画をフルでご覧になれない方向けに、テキストベースで詳細をまとめたものをお届けしましたが、お時間の許す方は、ぜひ東映が公開しているノーカット版の会見模様をご覧いただき、実際にお話しされている時のエモーションやニュアンスなど、文字情報ではお伝えできない部分含めてご覧ください。

作品情報

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 扉の向こうには、すべての時間があった

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『君の名は。』『天気の子』の 新海誠監督 最新作 

ついに始動ー『すずめの戸締まり』2022年秋公開

<作品概要> 

原作・脚本・監督:新海 誠

キャラクターデザイン:田中将賀

作画監督:土屋堅一

美術監督:丹治 匠

公式サイト

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